歴史の 浪漫街道 お江戸の神輿  新橋烏森神社の千貫神輿は八つ棟型の大神輿  担ぎ手大集団の迫力渡御
伝承と伝統の民族文化遺産


祭りだ!神輿だ! お江戸の神輿


    烏森神社 例大祭 平成20年5月 (隔年)

神輿データ: 祭神:倉稲魂神 台座:4尺2寸(127) 建造年度:昭和5年 (1930)
製作者:神田・多し鉄 延軒の八棟屋根・平屋台造りの大神輿。蕨手には神社の紋の烏
 



ビルの谷間の烏森神社。08.05.05. 大祭委員長の祭ポスター。08.05.05. 烏の透かしが入った祭ポスター。08.05.05. 神社ポスターと並ぶ氏子ポスター。08.05.05.   烏森神社。
例大祭。08.05.05.
 11時半〜17時半。
珍しい各種の例大祭ポスターが町内各所に掲示されている。
港区新橋2-15-5。
狭い境内に高いコンクリ社殿 委員長ポスタ 烏の透かし 神社祭りポスタ

烏森神社は新橋の繁華街のど真ん中に鎮座して周囲をビルが囲み、鳥居前参道は飲食店が所狭しと建ち並ぶ。 明治以後は烏森神社と称しているが、それ以前は烏森稲荷として、 霊験の厚い稲荷の一つであったのです。  

烏森神社: 平安時代の天慶三年(940)東国で平将門が乱を起こした時、 むかで退治の説話で有名な鎮守将軍藤原秀郷(俵藤太)が、 武州のある稲荷に戦勝を祈願したところ、白狐がやってきて白矢の矢を与えた。 その矢をもって、すみやかに東夷を鎮めることができたので、 秀郷はお礼に一社を勧請しようとしたところ、 夢に白狐が現われて、神烏の群がる所が霊地だと告げた。
そこで桜田村の森まできたところ、 夢想の如く烏が森に群がっていたので、そこに社頭を造営した。 それが烏森稲荷の起こりである。

重量感ある千貫神輿の宮神輿。08.05.05. 見事な装飾と暦注連縄。08.05.05. 神輿小鳥りの黒き烏。08.05.05.
勾配浅いこの重量感ある宮神輿 瓔珞と細かな装飾が施される 神社の神使いの珍しい烏が小鳥

昭和5年神田田代町・多し鉄こと山本正太郎作。 台座寸法は4尺二寸(127CM)延軒屋根・平屋台造り。八つ棟型の大神輿(通称千貫みこし)。 蕨手上に烏を置く。
四面ある屋根の各面に切妻が載っている八つ棟型の神輿は、非常に珍しい。 昭和57年に神田の宮惣(村田桂一氏)によって解体修理が行われた。 なんといっても一番の特徴は、屋根の形が入母屋を二つ重ね合せた「八棟造り」であることと、 蕨手上の小鳥に神社に因んで烏を置く (烏は熊野の神使として有名な神鳥である) 渡御にも揺珞をつけ、かみひねりのように繊細な締め縄をつけた神輿です。
 

皐月会の烏森染め抜く印半纏。08.05.05. 皐月会の担ぎ手の烏印半纏。08.05.05. 宮神輿に付かず離れずの警護班。08.05.05.
皐月会渡御責任警護班の印半纏 担ぎ手の皐月会の烏印半纏 小神輿と宮神輿を警護班が囲む

宮神輿渡御は「皐月会」が取り仕切っています。
宮出しの「担ぎ手」は皐月会の烏印半纏で白鉢巻です。「渡御責任警護」は紺の股引き・腹掛け・ 背中に赤く烏森と入った半纏で烏森神社と染め抜かれた赤い鉢巻きを着用です。 宮出しの間は指定の鉢巻き(白地に赤で烏森神社の文字入り)がないと担げないことになっています。
担ぎたい一心の兵は鉢巻きを拾い三つ裂きにして仲間たちと割り込み担ぎ棒にしがみ付くとか。
 

湯島白梅太鼓。08.05.05. 太鼓は担ぎ手も観衆をも魅了する。08.05.05.
式典で披露する湯島白梅太鼓 式典のSL広場で祭太鼓の湯島白梅太鼓が鳴り響くと観衆も釘付け


神社境内は余りにも狭く、駅前の「ニュー新橋ビル」を一周することが、宮出しなのです。 日比谷口SL広場での式典が終わり、宮出しの皐月会担ぎ手が集結している 開始地点まで皐月会警護班が宮神輿を移動させます。この間異様なまで静寂です。 高ぶる心を沈めているのか担ぎ前の静けさ、嵐の前の静けさです。  

  千貫宮神輿の大迫力宮出し

渡御の守護神の金箔の獅子頭。08.05.05. 魁の気合を十分な女神輿。08.05.05. 宮神輿と同じ八つ棟型の神輿。08.05.05.
渡御行列を守護する獅子頭 宮神輿の露払いの女神輿 宮神輿を真似た八つ棟型の神輿

千貫神輿の渡御行列は道案内の天狗の猿田彦命、め組高張り提灯、行列守護する獅子頭、木遣、 蛇の目傘の巫女、高張り提灯と氏子役員、皐月会の露払いの女神輿と男神輿。 そして千貫神輿の宮神輿です。  

め組:烏森社殿の真っ赤な大提灯は「め」組印です。 いろは48の町火消(とび職集団)の一つで、 芝三田から芝新橋まではめ組の地域だったのです。
因みに烏森神社の氏子地区は、江戸時代は土橋二葉町・同兼房町・櫻田備前町・同和泉町・ 同鍛冶町の5つの町にわたっていた。 現在は新橋一丁目西部・烏森・新橋三丁目中部・新橋三丁目西部・桜自治会・兼房・桜正・桜・新三・南桜・ 新交・親和・南佐二・ニュー新橋ビル自治会・しんちか自治会の15町会です。
 

千貫神輿は宮出しから左右にぶれだす。08.05.05. 大神輿のこの躍動感には感動ものです。08.05.05. 担ぎ棒取り合戦で半回転しても前進です。08.05.05.
蛇行を警護班は必死に修復 割り込む輩で振れながらも前進 担ぎ棒取り合戦で神輿が大きく反転

迫力満点の千貫神輿の宮出しです。担ぎ出されて即、担ぎ棒取り合戦が神輿の左右で繰り広げられ、 警護班が必死に担ぎ手を守り、進路修復に躍起です。 担ぎ手大集団の掛け声と共に大きく蛇行しながらもじわじわと前進です。  

千貫神輿がJR新橋駅前に顔を出す。08.05.05. 担ぎ満足の担ぎ手たち。08.05.05. 遠くて短い宮出し一巡です。08.05.05.
JR新橋駅前に出てきた千貫神輿 飛び込み割り込みにもめげず 皐月会宮出しの最終担ぎ

ニュー新橋ビルの一周を終えてSL広場で皐月会による宮出しが無事終了です。 17時半の宮入りまで、順次15氏子町会による渡御が行われます。  

  千貫宮神輿の氏子町内渡御

外堀通りからレンガ通りを目指す千貫神輿。08.05.05. 方向転換進入も神輿にまかせてごく自然。08.05.05. 町会のレンガ通りをゆったり南下しだす神輿。08.05.05.
新橋外堀通りからレンガ通りへ 警護班の指示通りに入り込む レンガ通りの喧噪のなかを渡御

氏子同士で二年振りだねと祭り笑顔。08.05.05. 烏森神社境内の幟旗の社紋。08.05.05. 見事揃っている氏子町会だけで担ぐ千貫神輿。08.05.05.
宮出しとは変わって和やか担ぎ 喧騒から解き放たれ祭神もホッ 氏子町会の祭り本来のゆったり渡御

何と穏やかで和やかな千貫神輿の渡御でしょうか。 同日例祭の千貫神輿の鉄砲洲稲荷神社と三崎稲荷神社へ、 担ぎ手達は担ぎハシゴで蜘蛛の子を散らす様に去ったのです。 先ほどまでの宮出しの喧騒の中での担ぎ棒バトルとは打って変わっての神輿担ぎです。

都心部の各神社氏子は近年減少気味で応援担ぎは良いことですが、 神社担ぎルールはちゃんと守らなくちゃ江戸っ子神輿の担ぎ手じゃないですよね。
 


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